技能実習制度に代わる新しい制度「育成就労制度」が、2027年(令和9年)4月1日に施行されます。現在、技能実習生を受け入れている企業はもちろん、これから外国人材の採用を検討している企業にとっても、採用ルート・費用・人材の定着に直接影響する大きな制度変更です。この記事では、出入国在留管理庁が公開している制度概要・Q&A(令和8年時点)をもとに、育成就労制度の仕組み、技能実習との違い、そして茨城・関東の企業が今から準備しておくべきことを、登録支援機関の株式会社人材ワークが解説します。
育成就労制度とは
育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の技能水準の人材を育成することを目的とした制度です。技能実習が「国際貢献(技能移転)」を建前としていたのに対し、育成就労は「人材育成」と「人材確保」を正面から目的に掲げています。3年の育成期間を終え、技能試験と日本語試験に合格すれば特定技能1号へ移行し、その後は特定技能2号を経て長期的に日本で働き続ける道が開かれます。
- 施行日:2027年4月1日(監理支援機関の許可は2026年4月15日から、育成就労計画の認定は2026年9月1日から施行日前の申請が可能)
- 在留資格:「育成就労」(新設)
- 期間:原則3年(特定技能1号への移行試験に不合格の場合、最長1年の在留継続が認められる場合あり)
- 対象分野:特定技能の産業分野のうち、自動車運送業・航空を除く17分野。介護・建設・農業・製造業(工業製品製造業)・外食業・宿泊など
技能実習との違い(比較表)
| 項目 | 技能実習(現行) | 育成就労(2027年4月〜) |
|---|---|---|
| 目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材育成・人材確保 |
| 期間 | 最長5年(1号〜3号) | 原則3年 → 特定技能1号へ |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 一定要件を満たせば本人の意向で可能 |
| 入国時の日本語 | 要件なし(介護を除く) | A1相当の試験合格、または相当講習(100時間以上)の受講 |
| 受入れの監理 | 監理団体(許可制) | 監理支援機関(許可制・要件を厳格化) |
| 送出機関への手数料 | 本人負担が中心 | 本人負担は月給2か月分が上限。超過分は企業または監理支援機関が負担 |
| 対象分野 | 約90職種 | 特定技能と原則同じ17分野 |
| 受入れ人数 | 常勤職員数に応じた枠 | 分野ごとの受入れ見込数を上限として運用 |
最大の変更点:本人の意向による「転籍」が認められる
技能実習では原則として転職できませんでしたが、育成就労では次の要件を満たすと本人の意向で同じ業務区分の他社へ転籍できます。
- 同じ受入れ企業で、分野ごとに定める1年以上2年以下の期間働いていること
- 技能検定基礎級など、一定水準の技能試験に合格していること
- 分野別運用方針で定める水準の日本語能力(A1〜A2相当)を有していること
- 転籍先が優良な受入れ機関であり、民間の職業紹介事業者を通さないこと
企業側から見ると、「育成した人材が他社へ移るリスク」が制度として生まれるということです。賃金・住環境・日本語学習支援・キャリアの見通しなど、「この会社で働き続けたい」と思ってもらうための取り組みが、これまで以上に採用コストの回収を左右します。
日本語要件が入口から明確になる
- 就労開始前:A1相当(JLPT N5、JFT-Basic等)の試験合格、または認定日本語教育機関でのA1相当講習(100時間以上)の受講
- 特定技能1号への移行時:技能検定3級または特定技能1号評価試験の合格+A2相当(JLPT N4等)の日本語試験の合格
つまり、来日前の段階でN5相当の日本語力が必須になります。送り出し側の日本語教育の質が、そのまま入社後の受入れのしやすさに直結します。人材ワークはベトナム・ダナンのグループ日本語教育センターに日本人講師を配置し、来日前からN4〜N3相当を目標に教育しています(教育体制の詳細)。
監理団体は「監理支援機関」へ。許可要件が厳しくなる
技能実習の監理団体は、育成就労制度では監理支援機関として改めて主務大臣の許可を受ける必要があります。外部監査人(弁護士・社会保険労務士・行政書士など)の設置、債務超過がないこと、監理支援を行う受入れ企業が原則2者以上であることなどが要件とされ、受入れ企業と密接な関係にある者の排除も求められます。現在お付き合いのある監理団体が許可を取得できるかどうかは、2026年中に確認しておきたいポイントです。
費用面の変化:送出機関の手数料に上限
技能実習では、本人が来日前に送出機関へ多額の手数料を支払い、借金を抱えて来日する問題が指摘されていました。育成就労では、本人が負担する送出機関の費用は月給(所定内月額)の2か月分までとされ、これを超える部分は受入れ企業または監理支援機関が負担します。企業にとっては、これまで見えにくかった「送り出しのコスト」の一部を明示的に負担する形になります。透明な料金体系の送出機関・紹介会社を選ぶことが、これまで以上に重要になります。
技能実習からの経過措置
- 2027年4月1日時点ですでに来日している技能実習生は、認定された技能実習計画に基づいてそのまま実習を継続できます。
- 技能実習での新規受入れは、2027年6月30日までに技能実習を開始する場合に限り、施行後も計画認定の申請が有効とされています。
- 技能実習2号から3号への移行は、施行日時点で2号を1年以上実施していることが条件です。
「今から技能実習で採用するか、育成就労を待つか」は多くの企業が迷う点です。入国までに通常6か月以上かかることを考えると、2026年秋以降に採用活動を始める場合は、実質的に育成就労または特定技能を前提に計画するのが現実的です。
受入れ見込数(上限)
政府は令和10年度末までの受入れ見込数として、育成就労外国人 42万6,200人、1号特定技能外国人 80万5,700人を設定し、分野ごとの見込数を受入れの上限として運用します。分野によっては上限に近づくと新規受入れが止まる可能性があるため、早めの計画が有利です。
企業が2027年4月までに準備すべき6つのこと
- 自社の業務が17分野のどの業務区分に該当するかを確認する(該当しない業務は育成就労・特定技能で雇用できません)
- 現在の技能実習生の実習計画の満了時期と、その後の特定技能移行の可否を整理する
- 取引中の監理団体が監理支援機関の許可を取得予定かを確認する
- 賃金テーブル・住居・日本語学習支援など、転籍されないための定着策を見直す
- 送出機関・紹介会社の費用の内訳と本人負担額を書面で確認する
- 採用後の義務的支援・届出を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決める
人材ワークのサポート
株式会社人材ワークは茨城県つくば市に本社、滋賀県東近江市に営業所、ベトナム・ダナンにグループの日本語教育センターを持ち、有料職業紹介事業(08-ユ-300470)と登録支援機関(24登-010073)として、募集・教育・送り出し・紹介・就業後の支援までをワンストップで行っています。育成就労への移行を見据えた採用計画のご相談、現在の技能実習生の特定技能への切り替え、費用のお見積もりは無料です。お問い合わせフォームまたはLINEからお気軽にご連絡ください。
まとめ
- 育成就労制度は2027年4月1日施行。3年で特定技能1号水準の人材を育成する制度
- 本人の意向による転籍が可能になり、定着のための待遇・環境づくりが重要に
- 入国時にA1相当(N5)の日本語が必須。特定技能移行にはA2相当(N4)+技能試験
- 送出機関手数料の本人負担は月給2か月分が上限。超過分は企業側が負担
- 技能実習の新規受入れは2027年6月30日開始分まで。今後の採用は育成就労・特定技能を前提に計画を
※本記事は2026年9月時点の出入国在留管理庁の公表資料(育成就労制度Q&A、制度概要・関係法令)をもとに作成しています。転籍時の日本語水準など、分野別運用方針で定められる細目は今後変更される可能性があります。

